車をとめる時に、「どの漢字を使えばいいのか」と迷うことはありませんか?
一般的には、「車をとめる」には「止める」「停める」「駐める」という漢字が、SNSなど色々な場面で使われています。
特に「止める」は常用漢字(公用文書、新聞、雑誌などで使われている漢字)であるため、こちらを目にすることが多いと思います。
今回は、「車をとめる」という状況について、それぞれのシチュエーションに合わせた正しい使い方をご紹介します。
「車を止める」の使い方は?
「止まれ」という道路標識を目にしたことがあれば、この用語の意味をすぐに理解できるはずです。
「車を止める」という言葉は、一時的な停車を示すときに使われることが多いです。
例としては、「止まれ」の交通標識や、「通行止め」の掲示などがあります。
このように、「止める」という漢字は、「一時的に動きを止める」というニュアンスを持ちます。
また「止める」という言葉は、通常、他人が何かを行う際に使われることが多いです。
たとえば、走っている車を止めさせるような場合がその一例です。
つまり、自分の運転する車を止める場合以外に、他者が運転する車を停止させる場合にも使うことができる言葉です。
「止める」の具体的な使い方
たとえば、「信号で車を止める」場合のように、ドライバーが車内にいて、しばらくの間車を停止させるときに「止める」という表現が適しています。
また、市街地でタクシーを拾いたい場合には、手を振ってタクシーを停止させます。これも「止める」と表現します。
動いているものを一時的に停止させるときに用いる漢字です。
- 信号が赤に変わって停止が必要な場合
- タクシーを呼び止めたい場合
- 歩行者が安全に道路を渡るため、車を一時停止させる場合
「車を停める」の使い方は?
「車を停める」という表現は、交通標識の「一時停止」、バスが短時間停車するための場所である「バス停」などを一般的に目にすることがあります。
「停車」という漢字を辞書で調べてみると、以下のように書かれていました。
(1)電車・バスなどがとまること。また,とめること。「急行の―する駅」
(2)道路交通法で,車両等が停止することで駐車以外のもの。
出典:大辞林
(1)列車・電車などが止まること。また、止めること。「各駅に―する」「急―」
(2)貨物の積み降ろしや人の乗降などのため、車両等が停止すること。道路交通法では五分以内とする。
出典:大辞泉
「短時間(5分以内)に特定の場所に車を停めておく」という意味を持っていることがわかります。
例えば、信号で車を一時停止させる場合に「赤信号で停める」と表現することがありますが、この場合「停める」は「止める」と置き換え可能です。
ただし、「止まれ」という標識には通常「停まれ」とは書かれず、「止まれ」と表記されています。
「停める」の具体的な使い方
「停める」と「止める」の使い方はほぼ同一で、車が一時的に停止する状況において使われます。
例えば、車を路肩などに短時間(5分以内)だけとめる場合に使われるイメージでOKです。
車をとめるの漢字はどっち?
— クロギツネ(nextは固定ポストで)🦊⚔️🍎🌹🦇 (@frttkt) March 21, 2022
「車を停める」の方が7割近くいますね。
車をとめる の 「とめる」 を 漢字にするなら 「停」の字を使いたくなりますが、国語辞典では「止」の字でした。 「停」の字を使うのは、慣用的な方法みたいですね。
— 駿河守静太郎(するがのかみ せいたろう) (@tokoha1003) June 23, 2019
- 人が乗るためや降りるために車を一時的に止める必要がある場合
- バスがバス停で一時的に停車する場合
- トラックが荷物の積み込みや降ろしのために一時的に停車する場合
「車を駐める」の使い方は?
「駐める」という漢字は、「駐車禁止」や「駐車場」といった場所で用いられることが一般的です。
「駐車」という漢字を辞書で調べてみると、以下のように書かれていました。
自動車などを継続的にとめておくこと。道路交通法では、荷物の積み下ろしを除き5分以上車両をとめる場合をいうなど、「停車」と区別する。
出典:広辞苑
自動車などをとめておくこと。道路交通法では,車両等が継続的に停止することや運転者が車両等を離れてただちに運転できない状態をいう(人の乗り降りや,五分以内の貨物の積卸しのための停止は除く)。
出典:大辞林
「長時間(5分以上)にわたって特定の場所に車を停めておく」という意味を持っていることがわかります。
そして、車内にドライバーがおらず、直ちに運転ができない状態のことを指します。
「駐める」の具体的な使い方
例えば、「駐めておいた車で買い物に行く」といった文脈で「駐める」という漢字を使います。
ここでは、ドライバーが車内にいない長時間(5分以上)の停車を意味しています。
またスーパーマーケットや銀行などの専用駐車場に車を駐車する際に、「駐める」と表現するのが一般的です。
以上のように、車を一時停止させる場合には「止める」や「停める」を、長時間停車させる場合には「駐める」を使い分けると良いでしょう。
- 駐車場に車を置くとき、特に運転手が一時的に車から離れる場合
- 車に何らかの問題が生じ、路肩に車を停めなければならない場合
「駐める」の読み方は「とめる」ではない!?
「駐める」の読み方は、「とめる」ではありません。
広辞苑で調べてみると以下のように記載されています。
オンライン辞書での検索を繰り返しましたが、「駐める」という単語の定義を直接見つけることはできませんでした。
つまり「駐める」という表現が辞書には収録されておらず、公式な用語としての認知がないことが推測されます。
goo辞書で調べてみると、以下のように記載されていました。
[補説]俗に、「駐める」と書いて駐車の意とし、「停める」を停車の意として使い分けることがある。
出典:goo辞書
つまり、「駐める」という言葉が駐車を意味する際に使われる造語、または当て字であるため、辞書に正式な定義としては登録されていないようです。
ちなみに「駐める」と書いて「とどめる」、「駐まる」と書いて「とどまる」と書かれているサイトもありましたが、広辞苑や大辞林で調べてみても、確認はできませんでした。
「車を泊める」の使い方は?
「泊める」という漢字は、宿泊施設で使われたり、車中泊の際にも使われたりします。
これは、「駐める」と異なり、夜を含む長期間の停車を意味することが多いです。
ですが、「泊める」という漢字は、宿泊施設で過ごす際に用いられる表現であって、「車を泊める」と言うのは適切ではありません。
客や部外者を宿泊させる。宿を貸す。
出典:大辞林
車中泊が流行っている今日でも、「泊める」の主体は人であり、車自体を泊めるわけではないことを覚えておくべきです。
「泊める」の具体的な使い方
自宅のガレージなどに車を長時間停める場合に「自宅に車を泊める」という表現が適しています。
- 遠方から友人が来るので一晩自宅の一室を貸してあげる場合
「車を留める」の使い方は?
「留める」は、物をある場所に固定するという意味を持ちます。
例として、「留学」は学問を深めるために海外に滞在することを指し、この場合に使われる言葉です。
そのため、車を「留める」とは通常言わない表現です。
- ポスターを画鋲で壁に留める場合
- 髪をヘアピンで固定する場合
まとめ
車をとめる時間と運転手の有無によって、使用する漢字が以下のように異なります。
止める:一時的にとまる場合(5分以内)で、運転手がいる
停める:一時的にとまる場合(5分以内)で、運転手がいる
駐める:長時間とまる場合(5分以上)で、運転手がいない
泊める:長時間とまる場合(一晩以上)で、運転手がいない
短時間の停止には「止める」「停める」を、長時間の停車には「駐める」を、そして一晩以上の停車には「泊める」を使用されている傾向にあります。
もしどの漢字を選んだらいいのかわからないという場合は、日々の生活や書類作成などで頻繁に用いられる常用漢字の「止める」を使えば問題ないと思います。
それでも不安がある場合や、間違えることを避けたいと思った時は、ひらがなの「とめる」を使用することが安全策になります。